書評その87 塀の中はワンダーランド さかはらじん著
元ヤクザで今は建築現場の墨出し職人、かつクリスチャンという著者による自叙伝でした。刑務所の中の様子がよく分かりました。
それにしても元ヤクザのクリスチャンがなぜこうも多いのか、やっと分かった気がします。
元ヤクザで累犯者だと出所しても受け入れてもらえる場所がないようですね。
受け入れてもらえる場所はヤクザ業界かキリスト教会しかないようです。
それで足を洗うヤクザは元ヤクザが経営する会社で働くか、クリスチャンになる人が多いのかなと思いました。
なぜキリスト教だけが前科者を受け入れて他の宗教が受け入れないのか不思議に思いました。
仏教には輪廻転生思想があるから自己責任という考え方で、困っている人を助けることはしないのかなと思いました。
出所した著者をキリスト教会の人達は無償の愛で温かく迎えてくれたそうです。その教会にいた人たちも慈愛に満ちて輝いてみえたそうです。
僕は今、宗教なんて必要ないという立場なのですが、このような本を読むとキリスト教にもそれなりの存在価値があるのかもしれないと思いました。
貧困層への炊き出しをやってくれるのもほとんどキリスト教会の人達ですもんね。
あとは、覚醒剤(シャブ)の禁断症状の苦しさ、大変さも描かれていたのは良かったです。