雇われないで生きる道

やりたくないことをやらないで生きる方法を探求しています。

書評その65 なぜ人はカルトに惹かれるのか ―脱会支援の現場から 瓜生崇著

親鸞会というカルト宗教で職員として働き、その後脱会して今は浄土真宗大谷派でお寺の住職として働いている瓜生崇さんの本です。

この手のカルト宗教に関する本は、カルト宗教がどれだけ酷いか、間違っているかを書き立てている本ばかりなのですが、そういう本には今までなぜかなかなか手が出ませんでした。

しかしパラパラめくった時、「親鸞会」という単語が目に飛び込んできてハッとしました。

というのも、僕自身カルト宗教で働いていた時、親鸞会に入会しようとしていた人を勧誘して統一教会に引き入れたこともあったので、気になってしまい、読んでみる事にしました。

200ページとコンパクトにまとまっていたし、中身もとても興味深くて面白かったです。

この本はカルト宗教に反対するだけの本ではありませんでした。

基本的には家族がカルトに入った人や脱会支援に関わる人向けに書かれていますが、現役信者や元信者が読んでも頭に来ないだろうし、納得できる部分も多いし、読みごたえがあると思いました。

 

信者を脱会させるために信者に「正しさ」を押し付けても、心を閉ざされて対話のテーブルにさえも着けないので、信者がその信仰を持つようになった動機や背景までも深く共感し尊重しなければ信者の心を揺らがせる事はできないということでした。

上から目線で信者の教団は反社会的で教義も間違っていると論破しようとしてもダメだということでした。

まさにその通りだと思いました。

実はカルトに関する本も信者へのカウンセリングも、どうしても上から目線や論破や正しさのゴリ押しみたいなものが多いなと思っていました。

この著者はカウンセリングの根本である、「傾聴、共感、尊重」というのをしっかり実践していると思いました。しかも頭で考えて無理矢理共感しようとしているのではなく、元信者であり元当事者だからこその実感の籠った「傾聴、共感、尊重」だなと思いました。

 

僕は統一教会に入っていた過去をなかった物として扱おうと思ってきました。いつまでも過去に囚われていないで今と未来を大切にしようと思ったからです。でもこの本を読んでもう一度、統一教会と関わっていた過去と向き合ってみようかなと思いました。

と言うのも、瓜生さんの生き方にすがすがしさを感じたからです。

統一教会に関わっていた期間は僕の中の黒歴史なんかじゃない、素晴らしい期間だったんだと思いたいのかもしれません。

あの期間をこれから生かすも殺すも僕の考え方次第、生かし方次第なのかもしれないと思いました。

 

気になった参考文献

西田公昭著「マインド・コントロールとは何か」

森岡正弘著「宗教なき時代を生きるために」

仲正昌樹著「Nの肖像ー統一教会で過ごした日々の記憶」

江川紹子著「カルトはすぐ隣にーオウムに引き寄せられた若者たち」