我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

お金の無い社会!?

「お金の無い社会が来る!」という本を読みました。

大変素晴らしい内容で、とても共感を覚えました。

本の副題は、
「お金の歴史と未来のリソースベースエコノミー」とあります。

この本は全部で259ページありますが、
その内、最初の200ページはお金の成り立ちや銀行の歴史などの話です。

 

「お金の無い社会」について書かれているのは200ページ以降です。

「お金の無い社会」は簡単に言うと、
お金を廃止して、すべて無料にして、みんなで共有しましょう、
というような社会です。

必要な物を必要なだけ作って
みんなに十分に行き渡らせましょう、
というような正に夢のような社会です。

戦争もない、奪い合いもない、泥棒もいない、
売上や利益のために無理な販売も消費もない、
なので環境破壊もない、
本当に夢のような理想郷です。

このような理想的な社会を実現するのに必要なのが、
コンピューターとロボットです。

今まで人間がやってきた労働はコンピューターとロボットに任せて、
人間は趣味やボランティアをする社会です。

お金に関係したあらゆる不安から解放されるため、
人間は心からの善意で働くようになるため
やる気や創造性が解放されるようになります。

本当にこんな理想が実現できるのでしょうか?

科学技術の発達によって、それが可能になったと著者は言います。

このような社会は結局、共産主義社会なのでは?
と思う方もいらっしゃるかもしれません。

共産主義社会とこの社会の違いは、
商品の管理・分配を人間がやるのか、
コンピューターがやるのか、という違いです。

共産主義社会でも、平等な社会が目指されましたが、
商品の管理・分配をやる立場の人間の腐敗を防ぐことができませんでした。
つまり、「赤い貴族」の問題です。

資源基本社会では、
商品の管理・分配はコンピューターがやります。

この発想にはなるほどと思わされました。
人間がやるとどうしても私利私欲が入り、不平等になりますが、
コンピューターで正確に計算すれば
過不足なく行き渡ると思いました。

お金を廃止してしまうと、

商品の流通が一斉にストップして社会が大混乱に陥ると思っていました。

そうならないようにコンピューターで計算し、

ロボットでちゃんと配送して行き渡らせるのです。

それを実現できるだけの科学技術がすでにあるのです。

この本では、このような理想社会の姿が描かれていますが、
今の利己的拝金主義社会からどのように移行していくのか、
その具体的なプロセスまでは述べられていませんでした。

今後は、「資源共有社会」という理想像を共有した人同士で
その理想を実現するためのプロセスについて、
いろいろな意見や提案を出し合っていくことが望まれるなと思いました。

著者にも今度はプロセスについての本も期待したいなと思いました。

著者は経済学者ではなく、音楽関係者です。

今まで無数の経済学者がいたはずなのに、
このような提言が経済学者から出てこなかったことに
私は何となく怪しさを感じました。

また、商品の分配や管理を人間でなく、コンピューターに任せると
人間が機械に支配される恐ろしい社会になるというような映画ばかりで、
コンピューターに任せるとむしろ素晴らしい社会になるという映画が
一つもないことにも怪しさを感じました。

この本は、経済学者特有の難しい用語も出てきませんし、
読みやすい表現なのでとても分かりやすかったです。