書評その132 永遠の化学物質 水のPFAS汚染 ジョン・ミッチェル、小泉昭夫、島袋夏子著、阿部小涼訳
この本でPFAS(読み方:ピーファス)がどれだけ有害な物質かが分かった。
PFASは、簡単に言うとテフロン加工の物質だ。焦げ付かないフライパンやこびり付かない炊飯器などに使われている。
前から感じて来たことだが、炊飯器で炊くごはんはあまり美味しくない。
一方で、鍋や土鍋で炊くご飯は美味しい。
それがなぜなのか分かった気がする。
やはり自分の味覚、感覚、直感といったものを気のせいにせず、大事にして、そこに従ってみる生き方を大事にしていきたいと思う。
PFASとは、ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物のことを言う。耐熱性、耐油性、耐水性に優れた、5000種類以上の合成化学物質群である。
実はこのPFASは、焦げ付かないフライパンや炊飯釜だけに使われているのではなく、油っこい食べ物を包む包装紙、撥水加工の衣類や靴、タッチスクリーンを滑りやすくするのにも使われている。
最も大量に使われているのが軍隊や空港で、火災を瞬時に消し止めるための泡消火剤として使われている。
この物質の厄介なところは、自然界で分解するのに数千年かかるところだ。熱に強く、水や油をはじく性質を持ち、事実上壊れることがないという性質があるからだ。
そのため、アメリカではこの物質に「フォーエバーケミカル(永遠の化学物質)」というあだ名が付けられているらしい。
自然界でほぼ分解されないため、フライパンと炊飯器を買い替えるだけでは済まなくなっている。
今や大気やホコリ、地下水、浄水場の飲み水にまで汚染が広がっている。
最も飲料水が汚染されているのが沖縄と東京と大阪らしい。
沖縄と東京は米軍基地が汚染源で、大阪はダイキン工業が汚染源になっているそうだ。
このPFASが引き起こす病気は下記のもの。
①妊娠高血圧症、妊娠高血圧腎症 ②精巣がん ③腎細胞がん ④甲状腺疾患 ⑤潰瘍性大腸炎 ⑥高コレステロール ⑦低出生体重児の増加
PFASの濃度を示す単位に使われるのが、1リットルあたり何ナノグラム(ng)含まれているかだ。これは例えてみると、競泳用プール23杯分の水に一滴垂らしたときの濃度に相当するらしい。どれだけ毒性の強い物質かがうかがわれる。
飲料水や魚、家畜まで汚染されているとなると、自衛するのはなかなか難しいと感じた。飲料水は活性炭を使って濾過したり、焦げ付き易いフライパンに買い替えたり、こびり付き易い土鍋で米を炊くなど、やれることをやっていくしかないと思う。