我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

書評その131 自分でできるスキーマ療法ワークブック 伊藤絵美著

ついにこの本をやり遂げることができた。

本当に長かった…

この本の存在を知ったのは2015年頃。

そしてこの本には自分にとって大事なことが書かれていると気づき、やり遂げる必要があると思ったが後回しにし続け、結局6年も掛かってしまった…

この本を買ったのが今年の3月24日。

しかし本を開くまでにまた1ヶ月掛かり、読み始めたのが4月26日。

この本はBOOK1とBOOK2の2冊組になっている。

BOOK1は5月5日まで掛かった。ちょうど10日間掛かったことになる。

BOOK2は5月6日から始めて、5月15日に終わった。こちらも10日間だった。

この本は予想通り、読んでいても、ワークをやっていても本当に辛かった。しんどかったし面倒臭かった。きつかった。やりたくなかった。でもやり抜いた。そういう本だった。

 

スキーマ療法というのは何かと言うと、心理学の中の一つの治療法だ。

スキーマと言うのは、簡単に言うと「価値観」や「考え方」のこと指している。(専門用語で言うと、「認知構造」とか「深いレベルの継続的な認知」と言う)

スキーマ療法と言うのは何をするのかと言うと、自分の心の奥底にある価値観や考え方の書き換えを行う。

そして、心の奥底にある価値観や考え方は、多くの場合幼少期に受けた心の傷が元になっている。そのため、幼少期に受けた傷付き体験を思い出し、そこでどう感じたか、ということを思い出さなければならないのだ。

 

この本はBOOK1もBOOK2もレッスンが10個あった。レッスンごとにワークが3つ4つあり、その一つ一つを丁寧にやろうとすると1日に一つか二つのレッスンをやるのが精一杯だった。

著者によると本当はもっと時間がかかるそうだが、私は精神的に辛かったのでできるだけ早く一回やり終えたかったので一生懸命頑張った。

 

この本をやってみて大きな収穫が三つあった。

まず一つ目は、母親との関係が明確になったことだった。

ワークの中で0歳の頃から20歳頃までの記憶を思い出さなければならなかったのだが、非常に大きな気付きがあった。

それは、母親と会話した記憶がないという事だった。

記憶が思い出せないだけなのか。それとも会話したこと自体がなかったのか。

記憶が思い出せないほど印象に残る会話ではなかったのかもしれない。

どちらにしろ、この事は私にとって大きな影響を与えていたことに気づいた。

怒鳴られた記憶、引っぱたかれた記憶、説教された記憶、罰として外に出された記憶などは思い出せた。しかし、会話の記憶だけはなかった。

私にとって母親は、命令し、怒鳴り、引っぱたいてくる存在で、幼少期はいつ怒られるか怯えながら暮らしていた。

中学に入ってから、女性と会話しようとすると呼吸困難になってしまったのも、母親と気楽な会話をしたことがなく、「女性とは男性を厳しく査定してくる存在だ」というような意識が深い所に刷り込まれた可能性があったからかもしれない。

 

この本をやってみての大きな出来事の二つ目は、レッスン17を終えて残りわずかとなった頃に起きた。精神的に疲れ切り、起きていられなくなって昼間っから布団で寝転んだ。

それから原因不明の悲しみが襲ってきて、普段あまり泣かないにも関わらず、4時間近くも泣き続けた。

幼少期はほとんど毎日泣き暮らしていたが、そのことが思い出された。

 

三つ目は、「我慢をやめると人生が前に進む」ということに気づいたことだった。

自分の人生をずっと振り返ってみて、人生が大きく前に進んだ時に共通していたのが、苦しみが限界に達し、我慢できなくなって我慢を止めた時だったことに気づいた。

例1、もう親との生活に耐えられない!→置き手紙を残して家出→宗教団体で共同生活→精神的な解放感

例2、婚約者をどうしても好きになれない!→婚約破棄→宗教脱会→精神的な解放感

例3、もう働く事が辛くて辛くてたまらない!→働く事を放棄→知人宅で居候→精神的な解放感

例4、居候は肩身が狭いし辛い…→生活自立支援施設→生活保護→精神的な解放感

例5、生活保護はいいことばかりじゃないな…→今ここ→何か→得意なことで金持ち?

 

この本をやってみて、これから採用してみようと思ったスキーマ(考え方、価値観)

スキーマ:「この世は生きるに値する場ではない」スキーマ

スキーマ1:「これからは生きるに値する体験が増えていく」スキーマ

スキーマ:「どうせうまくいかないだろうな」スキーマ

スキーマ2:「うまくやれることもある」スキーマ

スキーマ:「俺は女性から愛されない」スキーマ

スキーマ3:「ほとんどの女性は親切で優しい」スキーマ

スキーマ:「なかなか取り掛かれないで後回し」スキーマ

スキーマ4:「まずは本を1冊読む事からでいいじゃん」スキーマ

スキーマ:「自分の思いを押し込めて自己犠牲」スキーマ

スキーマ5:「自分の思いも相手の思いも対等に尊重する」スキーマ

 

新しいスキーマを自分の中に定着させていくのはまだまだこれから。この本の中でやってきたワークを日々やって、習慣化できるかどうかにかかっている。

 

この本はワークをやるのが精神的に辛いし、読むだけでも辛いし面倒臭い。しかも価格も1冊3000円なので2冊で6000円も掛かる。そういった意味で万人向けとは言い難い。

そんな本でもお勧めできる人は以下のどれかに当てはまっている人だ。

スキーマ療法を専門家から直接カウンセリングとして受けたいけれど、お金がない。

インナーチャイルドの癒しを専門家から受けたけれど、上手く行かなかった。

インナーチャイルドの癒しを自分でやってみたいけれど、やり方がよく分からない。

認知行動療法を受けているけれど、なかなか生きづらさが解消されない。

・「思考は現実化する」という話を聞いて、自分の思考を変えたいのに、なかなか変えられなくて困っている。

・とにかく生きづらくてたまらない。

リストカットをやったことがある。

過食嘔吐をしている。

・どうしても自殺したい。もう終わりにしたい。

・親子関係が悪い。

・親からの愛情を感じたことがない。親から虐待された。

・私は愛着障害だ。

 

この本はあまりにも辛いので、好きなお菓子(つぶグミソーダ等)を食べ続けながらやった。一つのワークをやった後に報酬としてお菓子を食べるという形にしようかと思ったが、それだと私の場合だめだった。1ページ読むだけでも面倒臭くてワークまで辿り着けなかったからだ。ワークが辛くてお酒を飲みながらやろうとも思ったが、お酒を飲むと頭が働かなくなり、ボーっとしてしまってダメだった。お菓子を食べないでこの本も読まないよりはお菓子を食べてでもやったほうがいいと思った。タバコを吸える人はタバコを吸いながら(ストレスを解消しながら)やればやりやすいのではないかと思った。