我慢をやめる生き方へ

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書評その113 油を断てばアトピーはここまで治る―どんなに重い症状でも家庭で簡単に治せる! 永田良隆著

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ほっぺたが荒れて赤くなっていた頃

植物油と動物性たんぱく質(卵、乳製品、肉)を減らすだけでアトピーが治るという話でした。

動物油はいかにも体に悪そうなのは分かりますが、植物油の方がダメだというのはビックリしました。

この本は著者が下関市立中央病院で小児科部長をしていたときの本ですが、この病院に入院してきた患者さんを食事療法で次々に治していったそうです。

この本の食事療法の凄いところは、一生食事制限をしなければならないのではなく、アトピーが治るまでの期間だけでいいというところだと思います。(通常2週間から数か月間限定)。

アトピーが治ってステロイドを使わなくてもかゆくなくなったら、脂っこいものでも月1回とか食べていいそうです。

アトピーとかアレルギーというと、一生卵や乳製品を食べれないというイメージがありましたが、著者の食事療法だと3~4か月で何でも食べられるようになるらしいので凄く希望が持てました。

ステロイドの使い方も納得いくものでした。

肌が荒れていたりかゆみがあるときはたっぷりとステロイドを使い、かゆみや肌荒れをなくすことが大事で、それと並行して食事療法で内部から治していくというやり方でした。

ステロイドの使い方は最初に強めの塗り薬でしっかり表面を治し、だんだん弱めの薬にしていき、最後はなしにしていくという戦略が取られていました。

 

以下に印象に残った部分を書き出します。

・1955年ごろには皆無だったアトピー性皮膚炎や花粉症などが、今、これほど蔓延している現状は、親から子への遺伝が原因だとはとても考えられないのです。その間に変わったことと言えば、前述したように食事が一番でしょう。

・母親が間違った食事をすると母乳にもその成分が混じる為、赤ちゃんはさまざまな拒否反応を起こします。最初はむずかる、乳首を引っ張ったり噛んだりする、飲まない、泣き叫ぶなどの反応を示し、飲んでしまった後は、体がそれを排出しようとします。ときにはしゃっくりや嘔吐、下痢となり、さらに体に吸収してしまった場合には、余分な成分が皮膚に排出されます。それがかゆみや湿疹の元になるのです。

・植物油の多い食べ物

1、影響度「強」…揚げ物料理(フライ、唐揚げ、コロッケ、フライドポテト、てんぷら、油揚げ、生揚げなど)、マーガリン、ドレッシング、マヨネーズ、植物性クリーム、インスタントカレールー、グラタンの素、シチューの素、インスタントラーメン、シーチキン(オイル漬け)、スナック菓子(ポテトチップスなど)、クッキー、ドーナツ

2、影響度「中」…炒め煮料理(ひじき煮、きんぴら、うま煮、筑前煮)、菓子パン、チョコレート

3、影響度「弱」…食パン、フランスパン、赤ちゃん用ビスケット、ごま和え

・アレルギー反応を治す食べ物…イワシやサンマなどの魚に多く含まれる魚油のEPAやDHA。

アトピーを治す伝統的和食…米、小麦、魚介類、大豆、豆類、脂質少な目、緑黄色野菜、根菜、キノコ類、海藻類、イモ類

アトピーを作る現代の食生活…米、小麦、卵、牛乳・乳製品、肉・肉加工品、植物油・バター類多め、淡色野菜が主、海藻類少量

・参考例、下関市立中央病院の「治療食」

1、主食…白米、麦ごはん、胚芽米など(一口20回噛むのが原則)。

2、主菜…毎日連続して食べていいタンパク質として、魚介類、大豆製品、およびその他の豆類。肉類は、鶏肉、牛肉、豚肉のうち、どれか一つを週に1回ずつ、計3回(肉類を使う場合は、必ず3倍の野菜を添える)。

3、副菜…緑黄色野菜、淡色野菜、根菜類、キノコ類、海藻類、イモ類の中から、3食とも必ず4種類以上を加える。

※主食、主菜、副菜の比率を、成人で5対2対3に、成長期の子供で5対3対2に。

アトピー改善メニューの例

 鶏のから揚げ→鶏の水炊き。とんかつ→蒸し豚のポン酢しょうゆかけ。てんぷら→煮物、焼き物、刺身で。マヨネーズ→ノンオイルドレッシング。

・中等症(重症と軽症の間の状態)の人の植物油対策…トンカツ、エビフライ、コロッケ、鶏の唐揚げ、天ぷら、フライドポテト、油揚げ、生揚げなどの揚げ物料理、マーガリン、ドレッシング、マヨネーズ、インスタントラーメン、ポテトチップスなどのスナック菓子、インスタントのカレールー、シチューの素、グラタンの素などはすべて避けて下さい。迷った時のポイントは、手で触ったら指に油がつき、拭き取る必要がある程度のもの。

・中等症の人の卵対策…生卵、マヨネーズ、ゆで卵、茶わん蒸し、卵焼き、目玉焼き、オムレツ、スクランブルエッグ、ハムエッグなどの卵料理、ケーキ、プリン、カステラ、ホットケーキなどの卵を使ったケーキ類は避けます。食べられる卵料理…卵黄だけを使った料理、アイスクリームなどはOKです。また、かまぼこ、ちくわ、ビスケット、鶏肉、鶏レバーなども食べることができます。

アナフィラキシーショック…アレルゲン(アレルギー物質)を食べた直後に、非常に強い即時型のアレルギー反応が全身の臓器に起こり、ショック状態に陥って意識を失った状態。救急車を呼ぶことも考える。アナフィラキシーを起こしやすい5大食品は、鶏卵、牛乳、小麦、そば、ピーナッツ。

・中等症の人の乳製品対策…牛乳、練乳、チーズ、ピザ、乳児用粉ミルク、スキムミルクなどは避けます。食べられる乳製品…ヨーグルトや乳酸菌飲料、アイスクリーム、クリームシチュー、ポタージュなどの生クリームを使った料理が食べられます。牛肉や食パン、ビスケット、バター(乳児期までは避ける)も適度にOKです。

・中等症の人の米対策…玄米、もち米は避けましょう。食べられる米…胚芽米、七分づき米、精白米はOKです。ただし、一口20回噛むことを忘れずに。

・授乳中の乳児にアトピーが出た時、母乳をやめるべきか悩む人がいます。しかし、母乳を止める必要はありません。乳児にとって母乳に勝る栄養源はありません。母乳でする育児は、その後の親子関係や心身ともに健康な発育軌道に乗せる為にも重要です。ただ問題は、母乳にアトピーを引き起こしやすい成分が含まれている場合です。母乳は昔から「赤い血が白い乳になった」と言われる通り、母親が食べた物が吸収されて、およそ3~8時間後に母乳となって分泌されます。もしも母親が、植物油や動物性タンパク質を摂り過ぎて、それを十分に処理できなかった場合、数時間後には母乳に分泌されます。したがって、乳児にアトピーが発症した時は、まず母親の食事を変えることが大事なのです。同時に、一か月後にはお母さんの体調も良くなります。それまで悩んでいた頭痛、肩凝り、疲労感、便秘、肥満などが解消されていきます。当初、子どものために始めた食事療法が、実は自分自身の健康回復にも役立つことを実感するでしょう。

・石鹸はどんな種類のものを選んだらいいのでしょうか?

→石鹸は必ずしも必要ないと考えています。どんなに皮膚に優しい石鹸と言っても、やはり皮膚には負担になるからです。石鹸を使わない入浴法をご紹介しましょう。まず、数分間ゆっくり浴槽に浸かります。そして体がお湯に十分に馴染んだ後、浴槽内で全身の皮膚を軽くなでるようにこすると、ぬるぬるしたぬめりが剥がれるように落ちて行きます。これがアトピーによる汚れです。本来の垢落としをしたいときは、少し強めにこすると垢も落ちます。乳児の場合、顔や頭も浴槽内のお湯で繰り返し優しく洗うだけで垢は落ちるので、シャンプーやリンスも使わずに楽に入浴、沐浴ができます。タオルやガーゼを使ってこする必要はありません。

・良質なたんぱく質(魚や大豆を中心に)であれば、本人(子供)が欲しがるだけの量を与えるといいと思います。

・私たちの研究では、大豆がアトピーに影響をもたらすということはあまり考えられないという結論に達しました。大豆はそのまま食べることはなく、豆腐、納豆、味噌、煮豆などに加工されます。このように加工されると消化吸収も非常に良くなり、悪い影響が出ることは考えられません。ただし、精製された豆乳、プロテイン、大豆粉乳などは過剰摂取しやすいので注意が必要です。

・臨床観察すると、一般に言われているほど、ダニの関与はないようです。検査上では陽性であっても、臨床の症状とは一致するとは限りません。

・間違った食事に対する警告反応は、まず最初に消化器症状となって表れます。赤ちゃんや子どもの場合は「吐き気、嘔吐、腹痛」を繰り返し、「下痢、便秘」などの症状がよく見られます。赤ちゃんのしゃっくりもそうです。これらの症状は、体に良くない食べ物、体質に合わない食べ物に対する体の防衛反応と考えられます。

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ステロイドを塗って肌の湿疹が治まっている状態。手を上げたまま目を開けたまま眠っています。