書評その99 生活保護リアル みわよしこ著
10人ほどの生活保護受給者へのインタビューを中心として、生活保護について総合的に分かる本でした。
生活保護は一体どんな人が受給しているのかというと、約4割が高齢者です。
その他、疾病者、障害者、母子家庭などが多いようです。
この本のインタビューでは精神障害者の受給者が多く取り上げられていました。
僕がこの本で一番印象に残ったのは、とある精神障害者の発言でした。
それは、ケースワーカー(生活保護担当の役所の職員)を敵だと思わず、助け合いの関係を築いた方がいいという内容でした。
これはまさに盲点だと思いました。
ケースワーカー以外の人とは助け合ったり協力関係を築こうとしますが、ことケースワーカーとなると冷酷だから助け合うのは無理だと決めつけていたことに気づきました。
まずは僕自身の現状を分かり易く伝えていくこともケースワーカーへの協力にもなるのではないかと思いました。お互いの誤解や思い込みを解くことが重要なんだと思います。
あと、生活保護叩きをする人についても書かれていました。生活保護叩きをする人の多くがワーキングプアの人らしいです。なるほどと思いました。
僕もワーキングプアだったとき生活保護受給者が羨ましかったですし、生活保護受給者に敵対的な思いを持っていました。これは仕方がないと思います。
あと、税金で暮らしていることに後ろめたい思いを持っている受給者に対して、堂々と生きるための考え方も書かれていて参考になりました。
税金を利用しているのは生活保護受給者だけではなく、健康保険を使って病院へ行く人や道路などの社会的インフラを使っている人も税金を利用している人だとの話にはなるほどと思わされました。
税金をたくさん払う人と少し払う人、税金をたくさん利用する人と少し利用する人の幅があるのは仕方ないように感じました。
本当は税金も生活保護も政府もないのが一番いいんですけどね…