我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

書評その76 塀の中の事情 ―刑務所で何が起きているか― 清田浩司著

刑務所の中を丁寧に取材した力作でした。とても面白かったです。

441ページと結構な分量がありましたが、受刑者へのインタビューなどはすらすら読めるので案外読み易かったです。

刑務所に関する本は初めてでしたが、刑務所の大体の概要は掴めたと感じました。

強いて欠点を挙げるとすれば、刑務所の良い部分だけを取り上げていたので、刑務所の闇の部分もいつかは切り込んで欲しいかなと思いました。

刑務所は意外と恵まれた生活ができるらしいという噂は知っていましたが、本当にその通りでした。

時給1000円で独身で派遣社員をやる生活と大して変りないような気がしました。むしろ派遣社員として時給1000円でやる仕事はかなりきつい仕事が多いし、奴隷扱いされるところが多かったのですが、刑務所では受刑者でありつつも一応人間扱いされるので派遣社員よりは受刑者の方がまだましなような気がしました。派遣社員だと病院に行くお金もないし、仕事も休めないし休んだら派遣切りにあうし… 時給1000円で派遣社員としてワーキングプーアになるぐらいなら刑務所暮らしも検討に値するかもしれないと思いました。

働く事に疲れ切った人、生活保護を水際作戦で断られた人、自己破産するための費用すらない人などは、自殺する前にコンビニかスーパーで何か万引きしてわざと捕まるというのも大いにありだと思いました。

塀の中の事情は正直、映画「ショーシャンクの空に」だけしか知りませんでしたが、日本のリアルな塀の中の様子が分かって凄く良かったです。

マスコミ、特にテレビ関係者は僕は嫌いだったのですが、著者の取材姿勢やこの本には大変好感が持てました。マスコミ関係者の中にもいろいろな考え方の人がいるんだなと思いました。