我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

生活保護その8 生活保護受給者の仕事の実例

f:id:saiohasso:20200404154600p:plain

生活保護の業務を担当する福祉事務所  (出典:いらすとや)

昨日、福祉事務所で2回目の就労支援を受けてきました。

前回紹介されたいくつかの仕事がどれもあまり興味を持てなかったので、正直もう就労支援は断ろうかと迷っていました。

でも一応会う約束をしたし、セミナーには興味があったので行きました。

結果としては行って良かったなと思いました。

偶然の幸運なのですが、就労支援の担当の人が稀に見る良い人だったという事が大きいです。

 

以前ハローワークでも就労支援を受けた事がありました。

その時はとにかくどこでもいいから早く合格するという事だけが指導方針だったようで、40歳過ぎて未経験の職種に応募しても難しいから過去の職歴に沿った応募をしましょうと指導されていました。

でも僕は過去にやった職種も業界もどれも合わなかったのでもう二度とやりたくないと思っていました。

結局その時のハローワークでの就労支援では上手く行きませんでした。

 

そういった過去もあって「就労支援」という物に対してかなり身構えていました。

しかも、福祉事務所にいた就労支援の担当者の人は公務員ではなく、福祉事務所から委託された派遣会社の人だったので、もっとえげつない就労支援(ブラック企業だろうが何だろうがどこでもいいから早く働かせる支援)をされるものだろうと思っていました。

 

しかし、僕の担当の人は、上から決められた方針を押し付けるような感じがなく、むしろ、どういう支援をして欲しいですか?と聞いてくれるような人でした。これにはかなりビックリしました。

生活保護まで転落する人というのは基本的に働くのが苦手な人が多いので、合わない仕事をやらせても長続きせず、結局生活保護を抜け出せない場合が多いらしいです。

そういう事もあって無理強いはしてこないのかなとも思いました。

この就労支援担当者自身もいろいろな職種を経験してきた人であり、たくさんの生活保護受給者を支援してきた経験もあるので、僕の職歴だけでなく、性格や家庭状況などにもいろいろと配慮してくれました。

 

僕はハローワークでの就労支援で嫌な思いをしてきたので、福祉事務所の就労支援でもまた嫌な思いをするのかなぁ…と思って、何も期待していませんでした。

そんな中で、「内海さんとしてはどんな支援をして欲しいですか?」と聞かれた時は、とっさには何も答えられませんでした。

でも僕は必死に考えて、僕としては組織内で働くのは苦手なのでできれば自営業とかフリーランス的に働きたい事、どこかで働くにしても将来の自営業に繋がる職場が良い事、生活保護から就労ではなく自営業や独立や起業で自立できた人の例があれば教えて欲しいとお願いしました。

そして、いろいろな人のいろいろな話を教えて貰いました。

話の途中からだんだん担当者の目から涙が出ていたので気になり始めました。花粉症が酷いのかなと思っていましたが、話が佳境に入ってくるとマスクも取って嗚咽までされていました。久しぶりに目の前で男泣きを見ました。

f:id:saiohasso:20200404154725p:plain

就職の面接にも同行する事があるという就労支援担当者。涙なしには語れない過去があるのです。

本当に熱い人だなと思いました。生活費の為のワリキリの仕事としてではなく、生活保護から脱しようと頑張る人に寄り添い、伴走する人なんだなと感じました。

 

印象に残ったのはサラリーマンをやってた人が鬱病になって9年ほど働けない時期があった人の話でした。なかなか雇ってくれる所がなく、やむを得ず希望していなかった介護業界に入ったそうです。そしたらそこは慢性的な人手不足だったこともあり、とても丁重に優しく迎えてもらえたらしいです。その人はサラリーマン時代は本当に酷い扱いだったらしく、人生で初めて人から優しくしてもらったとの事でした。生活保護に陥った後、今度はスーパーの品出しという仕事を初めてやる事になったそうです。

 

f:id:saiohasso:20200404164321p:plain

スーパーの品出しの仕事 (出典:いらすとや)

そこでは買い物客と話したり、どれが美味しいかを教えて喜ばれたりする経験が過去に感じた事がないほどの喜びになったそうです。そんな話を聞いて、僕も食わず嫌いは止めようかなと思いました。

次に印象に残ったのはマンションの共用部の清掃にプロ意識を持ってやっている人の話でした。この人は何にプロ意識を持っているかと言うと、すれ違う人に笑顔で明るく挨拶する事だそうです。マンションの清掃を嫌々やる人や、腹立ちながらブスッとした顔で清掃する人はいますが、マンションの住民に笑顔で挨拶できる人はそうそういないよなと思いました。この人は、同僚と喧嘩して煮え繰り返るほどの怒りを抱えたままでも笑顔で明るく通行人と挨拶できるスキルを身に着けたらしいです。最初はできなかったそうですが、今はそれができるようになり、そこに誇りを持ってマンションの清掃をプロ意識を持ってやっているそうです。僕は嫌な事があると笑顔はできなくなるし、明るい挨拶は苦手なので、本当に凄いなと思いました。

f:id:saiohasso:20200404162649p:plain

低賃金の掃除の仕事をしながら笑顔で明るく挨拶というのはかなりレベル高いと思いました。