我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

書評その49 生活保護の受け方がわかる本(第3版) 神田将監修

全部で128ページとコンパクトにまとまっていました。

面白くはなかったですけど、大事な事は一通り分かるようになっています。

この本は一見すると法律面や制度面だけの本のように見えましたが、読んでみたら心理面についても掛かれており、そこがとても重要に感じました。

生活保護は、水際作戦をどう突破するかという事や、劣悪な無料低額宿泊所をどう乗り切るかといった面がクローズアップされがちですが、実は一番大事なのは心理面なんです。

生活保護を受給するというのは、心理的なハードルが高いですよね。生活保護を受給するなんて人として終わっている、人間として価値がないという自責の念を抱いてしまいがちです。そこを乗り越えるための話が最初に書かれていたのはとてもよかったと思います。

生活保護の申請をすると、親兄弟に役所から連絡が行くので、受給を検討・申請している事がばれます。

これは見方によっては親族の恥と見做されてしまいます。親兄弟・親戚一同から嫌味を言われたり脅されたり恥をかかされたりする事もあるかもしれません。そんな思いをするぐらいなら生活保護の申請は諦める、そう思う人も少なくないと思います。

でもまさにその心理こそが一番大きなハードルなんですよね。そこをどう捉えて、どう乗り越えて行くのか、その参考になる話が実際に生活保護を受給した人のインタビューという形で取り上げられていました。水際作戦で断られて傷付いたり、諦めようかと悩んだり、ネットで調べたり…と言った多くの人が辿る心理的な逡巡。とても参考になります。

でも僕は、役所で水際作戦に従事している人を憎んだり怨んだり敵対するのは、あまりお勧めしません。

その人たちも上司からの命令に忠実に従っているだけで、それに逆らう事はできないからです。下手に逆らえばパワハラのターゲットにされ、メンタルを病み、自己都合退職へと追い込まれます。

この本でも勧められていたのは、生活保護の申請に行くときにはできるだけNPOなどの経験者の人に一緒に付いて行ってもらう事です。一人で行ってもほぼ確実に水際作戦を乗り越える事はできないと思います。

この本の欠点は、上記のように申請同行を勧めておきながら、どのNPOに相談に行ったらいいかという情報が欠けていた事でした。NPOと言っても玉石混交で、良い団体もあれば貧困ビジネスに勤しんでいる団体もあります。