我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

書評その36 絶望しないための貧困学 大西連著

著者の大西連さんに興味を持ったので読んでみようと思いました。

 

大西連さんは、生活困窮者の支援をしているNPO「もやい」のトップである理事長を務めていらっしゃいます。1987年生まれなのでまだ32歳なのにどうしてそのような重責を任されるようになったのだろうと思って読みました。

 

この本は、2015年に出版された「すぐそばにある貧困(大西連著)」の新書版として出版されました。

 

タイトルは「貧困学」と学問のような堅苦しい印象がありますが、中身は小説のようなドキュメンタリー形式になっており、とても読み易く、分かり易く、面白かったです。

 

著者がどのようにしてホームレス支援活動に関わるようになっていったのか、よく分かりました。著者は中高一貫の有名私立高校出身なのに、大学進学というコースには行かず、なんでこんな全く儲からないボランティア活動をしていらっしゃるのだろうかというのがずっと僕の中での疑問でした。

 

本の内容は、一言で言うとホームレスの人たちの生活保護申請を手助けするために役所に同行していく話です。著者がいろいろな人に同行していく話が収録されており、いろいろなパターンがあるんだなと分かります。生活保護の申請に役所に同行する事を「申請同行」と言うのですが、この「申請同行」が活動の大きな柱となっています。

 

著者は役所の水際作戦(役所の窓口の人が生活保護申請を諦めさせる作戦)と戦ってきた事が詳しく書かれており、情景が目に浮かぶようでした。

 

読後感としては、申請同行をしてもらわなくても、失業保険を受給するのと同じように本人が一人で役所に行って気軽に申請して受給できるような社会であってほしいと思いました。

そのために活動しているのがもやいなので、これからももやいを応援していきたいなと思いました。