我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

書評その38 「森の演出家」がつなぐ森と人 ~五感を解き放つとっておきの自然体験~ 土屋一昭著

読み終わって率直に、素晴らしい本だし、素晴らしい生き方だなぁとつくづく思いました。

こんな生き方ができる人が一人でも増えて行けばいいなぁと思いました。

僕も将来はもっと自然豊かな所に引っ越そうかなという思いも頭をよぎりました。

著者は、森林ガイドであり「森の演出家」であり、「東京最後の野生児」とも言われている土屋一昭さん。

東京西部の青梅市で生まれ育ち、小さい頃から消防士の父親に連れられて自然の中で遊びながら育った事でいろいろな知識や技術を身に着けてこられたそうです。

 

本の最初は著者の生い立ちが書かれていました。

小学校の頃は小柄だったこともあり、インドア派のいじめっ子に目を付けられ、何度も頭をはたかれたそうです。背が低いからやり返せない。そんな中でどうしたらいいかを考えたそうです。

それで相手を森におびき寄せ、蜂の巣に石を投げて蜂に襲わせたり、落とし穴に誘導して落としたりして復讐したそうです。

その結果陰湿ないじめから脱出できたそうです。

これは本当に素晴らしい行動と結果だなと思いました。漫画にできると思いました。

高校でもヤンキーの餌食になり、逆襲する必要に迫られたそうですが、体を強くするために柔道を習ったそうです。

学校でいかにいじめを切り抜けるかという知恵が詰まっていると感じました。

また、高校では難病指定の「重症筋無力症」の疑いがあると診断され、検査入院を繰り返していましたが、病院も学校もない日に家のそばの森で休むようにしていたら少しずつ体調が上向いてきたそうです。森に行くと調子が良くなるという体験を通して、後々「五感メソッド」が誕生していく下地ができていきます。

その頃に土屋さんが森でやっていた事。

「思い切り深呼吸をして、森の空気を肺の隅々まで行き渡らせた。目を瞑って木漏れ日の温かさを感じた。樹木や土の香りをくんくんと嗅いだ。風の音や鳥のさえずりや、木の葉が落ちる音にも真剣に聞き耳を立てた。虫たちの動く気配を察知して目を凝らしてみた。生きている喜びと、大自然と比較した時の自分一人の存在の小ささ。いろいろな感覚が冴えわたり、森への感謝が湧いてきた」。

最終的には難病の疑いは晴れ、体調不良は思春期特有のホルモンバランスの乱れやラグビー部の猛練習の過労が原因という意外な結論になったそうです。

その後調理師をしていた時にも自律神経がおかしくなってノイローゼ気味になったそうですが、森に入っていく事で心が落ち着き、回復していったそうです。

 

著者の仕事観がよく表れている言葉が凄く心に残りましたので、下記にそのまま引用させて頂きます。

・「僕自身も当時はたくさん悩んだけれど、その結論として、自分の理念を曲げるような我慢を強いられる仕事なら、無理に続けない方が正解だと思っている。耐え忍ぶ事が美徳と言う風潮は良し悪しだ。体裁や出世を捨てて、バカ正直に理念や信念に従うのは、損な生き方かもしれない。でも、自分の中心に理念を持っていないとしたら、人はいったい何のために働くのだろうか」。

・「プロフェッショナルとして自立したければ、夢中になって寝食を忘れて打ち込むぐらいの勢いが必要なのだ。あくまで自発的に。強制的な猛特訓や過重労働を正当化するつもりはない」。

・「インターンに来た大学生たちと話していて、「趣味と仕事は違うから」と言われた時には、僕は迷わず「でも趣味から入った方がいいよね」と持論を述べた。仕事は人生をかけてやるものだから、中途半端な愛情では続かない。僕は森が好きだ。生き物や自然が好きだ。それらの魅力を伝えてゲストの表情が輝く瞬間が好きだ。本気で好きなものに真正面からぶつかった方が、結果的にうまくいくと信じている。大変な事もたくさんあるが、人生に根差した自分の軸から生まれたオリジナルの発想にニーズがあると、とても幸せを感じる。夢を広げつつも、ブレない活動を続けて行きたい」。