書評その19 ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が会社の人間関係で困らないための本 對馬 陽一郎、安尾 真美著
この本はとても良かったです。非常に詳しく、深く分析されています。
発達障害の人にとっても、周りの人にとっても大変お勧めな本だと思います。
著者が2009年から発達障害の人の就職支援に携わっていただけあって、実際に接してきて蓄積されてきた内容としか思えない具体的な事例が豊富でした。本当に流石だなと思わされました。
僕はADHD(注意欠如多動症)ですが、職場の人間関係で何が一番困ったかと言うと、何と言っても上司や先輩との関係です。
かなり注意していてもいつの間にか上司や先輩との関係が悪くなっていきます。どう悪くなるのかというと、一言で言えば上司や先輩を怒らせてしまうんですよね… 小さな苛立ちを溜め込ませて最終的に爆発→怒鳴る、パワハラ、いじめ、耐え切れず自己都合退職へ…
ADHDの人がなぜ、上司や先輩を怒らせてしまうか、その原因がこの本で詳細に説明されています。
原因はいろいろありますが、
1、悪気はないのに上司や先輩に対して態度がデカくなってしまう。
2、悪気はないのに発言や態度が逆らっているような感じになってしまう。
3、仕事もできないくせに生意気な意見ばかり言ってしまう。(←多動性、衝動性)
4、指示を忘れる。(←注意欠如症)
5、ミスが多い。(←注意欠如症)
6、やる気が感じられない。(←多動症により興味がすぐに変わっていく。興味がない事には気が散りやすい。)
下にこの本で一番印象に残ったページの写真を載せました。
「指示受けで出やすいNG語集」です。
僕はこれを読んで、流石にここまで無礼な発言はしないように気を付けて自制していたけど、これに近い事はたくさんやってきたなぁ…あちゃぁ…と思いました。
特に思い出されるのが、上司や先輩が言った事をちゃんと聞き取れなくて、「えっ?」と言ってしまう事がよくありました。目上の人に対して「えっ?」と聴くことは失礼なんだなと大分経ってから気付くようになりました。
他の人をよく観察していると、聞き取れなかった時「えっ?」とは言っていないなと気付いたんです。「はい?」とか「もう一度仰って頂けますか?」等と言っているのを見て、見習うようになりました。
こういうちょっとした無礼な発言や態度が積み重なり、仕事のミスも重なって、いつの間にかパワハラのターゲットになってしまったのかなと思います…