我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

書評その55 縄文を創った男たち~信長、秀吉、そして家康~下巻 さくやみなみ著 イラスト・みづ

上巻はずっとワクワクしながら読み進んで最後の場面も感動のフィナーレだったのですが、下巻は一転してイライラしながら読みました。何に怒りを感じていたかと言うと、淀殿の出しゃばり具合とそれを許す秀吉にです。

 

頭に来ながらも引き込まれて読みました。そして最後の最後に大感動がありました。

でも秀吉を責められないかなぁ…。絶世の美女と言われたお市の方と瓜二つだった淀殿ですし、待望の子供ですからねぇ…。

淀殿にしても本人が酷い人間だったと言うよりも、周りの侍女達から「浅井家の再興」の事ばかりを思想教育されてしまったんだと思います。ある意味、カルト宗教に洗脳された信者みたいなもんだったんだと思います。本人は最後まで正しい事をしていると思っていたと思います。だから僕は淀殿を責める事もできないですね。

この本を読んで、歴史の「なぜ?」がよく分かりました。そういう裏があったのね…と腑に落ちる話が続き、信長秀吉家康の頃の事が本当に良く分かりました。

僕は秀頼はもしかして三成の子供だったのではないかと思っていたのですが、最期の場面を見て圧倒されました。この大胆さ、潔さは三成にはないものだったと思います。まさにこれは秀吉や信長、長政の血だと思いました。彼はまさに漢(おとこ)だったと思います。泣きました。

下巻を読みながらずっと心に残っていたのは、「血」についてでした。「血族、血統、御家、相続、家督」等です。

「自分の子供を他人の子供よりも大事にする」事は一見、良い事であり、普通の事であるという集合意識がありますが、実はそうではないんだろうなと思いました。そういう認識を持っていたのがチーム信長のメンバーだったんだと思います。誰の子供であろうと等しく大切にするという思想が縄文の思想なんだと思いました。 

ちょっと気になったのがこの本の中には出てこなかった織田信忠徳川信康の事ですね。この二人は共に織田家、徳川家の嫡男でとても有能な武将だったと聞いています。この二人は実際はどうだったのかと言うのが気になりました。と言うのも、徳川家康の子供の話がとても衝撃的だったからです。まさか大奥がそんな事になっていたとは…

家康はたくさんの側室を作り、たくさんの子供を作ったと聞いていたので羨ましいなあと思っていましたが、本当にビックリしました。

僕はやっぱり光秀さんが一番カッコ良かったなと思いました。まさに漢(おとこ)の中の漢だと思いました。北斗の拳で言えば、核シェルターにケンシロウとユリアを押し込んで自分だけ灰を被ったトキのような人だなと感じました。

それにしてもこんなに奇想天外な展開の小説、感動的な小説は初めてでした。まさに事実は小説より奇なりだと思いました。この本が漫画化、アニメ化、映画化されたらもっと面白いだろうなと思いました。