我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

アイルランドでマーク・ボイルさんとお会いしてきました。

実は、僕は先月1月11日~1月23日までイギリスやアイルランドに行っていました。

だいぶ遅くなってしまいましたが、そのご報告をしたいと思います。

だいたいの内容は「ごちゃまぜの家日誌」というブログでご報告させて頂きましたが、このブログでは僕の感じた内容を中心にお伝えしていきたいと思います。

イギリスに行った目的は、ロンドンで開催される坂爪圭吾さんのトークイベントに参加するためでした。アイルランドに行った目的は、「ぼくはお金を使わずに生きることにした」という本の著者であるマーク・ボイルさんにお会いするためでした。

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アイルランドでお目当てのマークボイルさんとお会いできた翌日の晴れ晴れとした表情

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生まれて初めて見た途切れの無い半円の虹。

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虹が近過ぎて虹の全景をスマホのカメラに収める事ができませんでした。それだけが残念です。でも見れた事だけでも良しとしよう。

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この虹、途切れの無い半円だけでも凄いですが、よく見ると薄ーく外側にもう一本あります。

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濃い虹の外側に薄くもう一本虹があるのが見えますか?

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こちらはマークボイルさんが作ってくれた無料の宿泊施設「ハッピーピッグ」

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ハッピーピッグの中。卓球、ダーツ、サッカーゲーム、盤ゲーム、ギター、太鼓など遊び道具もいろいろありました。

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朝起きてドアを開けるとそこには虹が待っていてくれました。粋な事をするねぇ…

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これはマークさんが住んでいる家の玄関です。

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マークさんの家の外観。手前にあるのはマークさんの畑。自作の美味しいじゃが芋を下さいました。

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これはマークさんの畑。凄く小さかったです。葉菜類が多く、穀物系は見当たりませんでした。

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ゴールウェイ州コネマラから望む大西洋。どこもかしこもカレンダーに使えるような絶景ばかりでした。

 「ぼくはお金を使わずに生きることにした」という本を読んだ事ありますか?僕は2014年頃に読んでいましたが、当時はそこまでお金に困っていなかった事もあり、著者のお金を使わない生活を真似しようとは思いませんでした。

 しかし、2018年の10月ごろに彼の二作目「無銭経済宣言」を読んで、彼がお金を使わない生活を3年間も続けていた事を知りました。この頃僕自身就職先もなかなか決まらず、貯金も底をつき、どうやって生きて行くかを探しているところでした。

 彼はどうやってお金を使わない生活をしていたかと言うと、トレーラーハウスをもらい、農場の片隅に置かせてもらい、その代わりに週三日その農場で働いていました。食糧は野草を採集したり、野菜を作ったり、町でスーパーのごみ箱から拾ったりという感じでした。薪ストーブで暖を取り、移動手段は主に自転車。そのような生活をイギリスのブリストル市で行っていました。

 話は戻りますが、僕がアイルランドまで行って彼にお会いし、最も心を打たれたのは彼の生活様式ではなく、彼の人柄でした。

 確かにマークボイルと言えば、お金を使わない生活を3年間も西洋社会でやってのけたそのずば抜けた行動力が確かに突出しています。でもそういう事はもうすでに本で分かっていました。ですので、彼からいくら水道電気ガスインターネット電化製品を使わない生活を見せられても、やっぱり本の通りで本当に凄いなという程度しか思えなかったのです。

 そんな中で一番印象に残ったのが彼の人柄、人格でした。一言で言えば、温厚。温厚で優しく、気配りがとてもありがたく、礼儀正しく、謙虚。素朴で多弁ではないけれど、ひとたび口を開けば機知に富んだジョークを連発する。僕は彼の著書二冊を読んで彼のファンになりましたが、実際にお会いして大ファンになりました。

 遠くで見ていた時はカッコいいなぁと思っていた人も身近に接するとガッカリする事も経験した事がある僕にとっては、いい意味で期待以上の人でした。

 マークさんは電気もガスも水道もインターネットも電話も電化製品も時計も使っていません。電気の代わりにロウソク、ガスの代わりに薪ストーブ、水道の代わりに泉(湧き水)と堆肥化トイレ、インターネットと電話の代わりに手紙、時計に縛られずに起きたいときに起きて眠たくなったら寝る生活をしています。

 その一方で、無料宿泊施設「ハッピーピッグ」や友達に無料で貸している家には電気もガスも水道もシャワーもインターネットもあります。もちろん、お金を出しているのはマークさん。自分で稼いだお金を訪問者と友達のために使って下さっています。…こんな人、本当にいるんですね…

 今回の旅行は急に決まったため、事前にマークさんに訪問のアポイントを取る事ができませんでした。実際に行ってみると、本の執筆中で締切間近で、申し訳ないけれどあまりお相手はできないと言われました。僕自身英語がほとんどできないため、彼と深い話ができませんでした。それが今でも本当に残念です。

 僕は彼の電気ガス水道シャワーインターネットを使わない生活、野菜を作ったり薪を森から切り出したりする生活を見て、正直に言うと、どうしてもやってみたい、見習ってみたいとは思えなかったのです。彼はもう僕の何段階も先へ行ってしまっていて、僕が日本で生活している現実と掛け離れているように感じてしまいました。

 もし彼がブリストル市で自転車に乗ってスーパーのごみ箱をあさっていた頃に見学に行く事ができたら、スーパーの店主と交渉して賞味期限の切れた食べ物をもらう交渉を間近で見る事ができたら、凄く感銘を受けて、すぐに実行に移していたかもしれません。

 僕はまだまだ俗物だったのです。

 「アミ 小さな宇宙人」を読んでクラトのような生活に憧れながらも、現実には、サッカーをテレビで見たい、インターネットでユーチューブやニコニコ動画を見たいと言うようなレベルの人間だったのです。

 そんなこんなで、ブログでマークさんとの出会いを詳しく報告する事よりも、ネットカフェでサッカーのアジアカップを見てワクワクして、やっぱ農業よりもサッカーの方が好きだ俺…とか思ってしまっていたのです(+_+)。

 でもマークさんが執筆で忙しい中、自ら「寒いでしょ?毛布もう一枚どうですか?」と持ってきて下さった事、巨大なパンと大きな瓶にいっぱいの穀物を持ってきて下さって、「足りなかったらまた教えて下さいね」と仰って下さったり、自ら薪を斧で割って斧の使い方、薪の作り方を教えて下さったり、すべてにおいて優しさと細かい配慮と気配りに満ちた心遣いは僕の心の中にしっかりと刻み込まれています。

 これから英語をちゃんとマスターし、将来またお会いする時は彼とジョークを言い合える日が来ることを思い浮かべながら…