我慢をやめる生き方へ

我慢することをやめ、やりたくないことはやらない生き方を貫いていきたいと思います。

私の合同結婚式その2 マッチング2回目

※もう20年も前の事を断片的で不確かな記憶を思い出しながら書いているため、正確な記述ではないことをご了承下さい。

――2000年秋

大輔(こんなに早く再祝福(※再祝福…マッチングを受けたが上手く行かなかった人がまたマッチングを受ける事)を受けられる機会が来るとは…。)

――責任者から結婚相手の写真を渡される。責任者がいない所で恐る恐る写真を見る…。

大輔(うおあぁ…。まさか…。こんなことが…。この姉妹は知っている。知っているも何も一緒にいろいろな活動していた期間もあった…。でも、僕が今まで見てきた女性の中で一番苦手なタイプだ…。目の前が真っ暗になる感覚というのはこういう事を言うのか…。立ち眩みを初めて体験した…。ショック過ぎて吐き気がしてきた…。立ってもいられない…。これはキツイ…。まさかこんなことになるとは…。)

大輔(やっぱり神様は厳愛なんだな…。慈愛はないんだな…。好きな女性を愛していては人格の成長なんてできないもんな…。嫌いな女性をどれだけ深く愛せるかで愛は成長し、人格は完成へと向かう…。確かにそうなんだろう…。でもいざそれをやれとなると…。やっぱり一回しかない人生、好きなタイプの女性と結婚して楽しく幸せに生きたい…。自分の愛の限界を超えて、嫌いなタイプの女性を愛して成長しなければならないというのは理想論ではあるけれど、実際に自分に突き付けられるときつい…。)

――合同結婚式の会場に向かう飛行機の中で、相手からの衝撃の告白。

大輔(えぇー!!! そんな大事な事を今まで隠してきたとは…。まぁ、言いにくい事ではあるけれど、それをこんな時まで言わなかったっていうのは…。全然気にならないですよなんて綺麗事言ってしまったけど、気になりまくるよ…。まさか左耳が難聴で聞こえないとは…。でも、右耳が聞こえてちゃんと会話はできるから大丈夫か…)

――相手からの更なる衝撃の告白。

大輔(えぇー!!! まだ言ってくれてなかった事があったなんて…。それにしても彼女が言ってた子宮内膜症ってどんな病気なんだろう…。お腹が痛くなったり体調が悪くなりやすかったり、妊娠しにくかったりするらしいと言ってたけど…)

大輔(あぁ…涙。子宮内膜症って思ってたよりも多くの人が持っている病気だったんだな…。後は、妊娠しにくいというか、子供ができない可能性が大きいらしいな…。でも子供ができないって言うのはきついなぁ…。子供を作って父母の心情を育むというのが家庭を持つ大きな目的なのに、それができなくなってしまう…。そんなんで家庭を持つ意味があるのか!? 子供ができないでずっと夫婦二人っきりで生きていくのか…。)

大輔(外見がどうしても好みのタイプではないというのもあったけど、左耳が聞こえないとか、子宮内膜症を持っているとかを最初に伝えておいてくれない、というのは一体どういう事だろう…。確かに無条件の愛の人格者なら左耳が聞こえないとか子供が産めない体だと言うこと位どうって事ないのかもしれない…。だとしても…。だとしても…、それを最初のマッチングの段階で言わないで隠しておいて、大分日数が経ってこちらが断りにくい状況になってから伝えてくるという彼女のやり方はどうも釈然としない物を感じる…)

――その後、彼女は親に拉致監禁される。彼女は親に騙されたショックや監禁された恐怖心などからPTSDを発症する。一年以上経って、彼女は監禁が緩んだ隙を付いて脱出に成功する。

大輔(あぁ…。やっと監禁から脱出してきてくれたのは良いけれど、まさかPTSDになってしまうとは…。 彼女の信仰は見上げたもんだな…。でも、PTSDになってしまって、一人ではコンビニに買い物にも行けなくなってしまった…。そして、精神科医から処方されているいろいろな薬を飲み続けないと夜も眠れないらしいし…。)

大輔(一人で買い物にも行けない女性と結婚して、家庭を出発して上手く行くんだろうか…。彼女は一人では外に出歩けない…。常に誰かと一緒でないとダメなんだ…。という事は、俺が外で働いたとして、彼女はずっと家にいるだけ?食事の買い物も俺がしないといけないんだな…。当然彼女は外で働く事はできない…。彼女と結婚して家庭を出発した場合、彼女ができるのは家で料理等の家事をやる事位かな…。)

大輔(なんかPTSDって調べれば調べるほど大変な病気みたいだな…。精神科医の先生も、1年2年で治るものじゃないとは言ってたし…。一生掛けて治していく、というような事も言ってたよな…。いやぁ…大変だ…。)

大輔(いやぁ…。彼女と家庭を出発するのは本当に大変だ…。というか気が進まない…。PTSDというのもそうだけど、子宮内膜症で子供は望めないし、そもそも外見的には自分の一番苦手なタイプ…。愛する修行って言うのはほんとに辛いな…。いやぁ…、ほんとに辛い。どうしても彼女を愛せない…。どうしても彼女を好きになれない…。どうしよう…。好きになれない状態で家庭を出発したとする…。そんなんで上手く行くんだろうか…。愛し合って行けるんだろうか…。そもそも、彼女に対して女性としての魅力を感じる事ができない…。肉体関係をちゃんと持てるんだろうか…。ちゃんと夜の営みをやり切れるんだろうか…。義務的にやることもできなくはないとは思う…。でも…。でも…。俺はそんな人生がどうしても嫌だ…。受け入れられない…
。)

――2000年にマッチングを受けてから約5年。

大輔(マッチングを受けてからついに5年も経つな…。5年間愛する努力をして、受け入れる努力をして、どうしても自分の心情が転換しなかったら諦めようと決めてきたけど、ついにその5年が経ってしまった…。やっぱり、無理して義務的に家庭を出発して、予想通りやっぱり愛せませんでした、離婚しましょう、となるよりは、最初から婚約破棄してしまった方がいいのかもしれない…。一度入籍してしまえば、戸籍に傷が付くというのもあるし、肉体関係を結んでしまえば、いわゆる世間的には「傷物」という事になってしまう…。自分の信仰のレベルや人格・愛のレベルを客観視してみれば、俺は大した信仰者ではないというのが本当の所だろう…。そんな俺が大見得を切って家庭を出発しても長くは続かない確率の方が高いだろう…。そうだ…。お互いのために、破棄した方がいいだろう…。彼女を本当の意味で受け入れられる人と再祝福を受けた方
が彼女のためにもなるだろう…。)

大輔(よし、明日、マザー(※マザー…家庭や夫婦の問題を担当しているベテランの女性)に破棄する意志を伝えよう…)

大輔(担当のマザーに)「…済州島の修練会でも頑張ったんですけど、やっぱり心情は転換され切りませんでした…。…祝福(※祝福…合同結婚式の事)を受けてから5年間、条件を立ててきたんですけど、やっぱり相対者(※相対者…結婚相手の事)を愛せません…。破棄するしかないと思います。お互いのためにも…」

今までずっと担当マザーと悩みを相談しながら努力を重ねてきたので、マザーからも引き留められることはなかった。マザーも、もう何を言っても無駄だろうと思ったのかもしれない…。

こうして私は、祝福(合同結婚式およびマッチング等の事)を破棄した。統一教会の教義の核心中の核心である祝福を自ら破棄し、否定する事は、その組織にそのまま留まる事ができない事を意味していた。
必然的な結果として、私は統一教会から遠ざかり、関係が切れて行った。
私は理性では祝福を全うすべきとは思いつつも、感情では受け入れられなかった…。やっぱり人間は感情の動物なのだと思う。
昔の人は親が決めた結婚相手を顔も見ずに受け入れていたという。親に対する絶対信仰、絶対愛、絶対服従があったからなのだろうか…。親が決めた結婚相手を断る事は、村八分になるので選択肢がなかったから受け入れたのかもしれない…。そういった意味では、私は確かに統一教会からは村八分になったが、村の外で今、生きている…。