「無銭経済宣言」の概要
無銭経済宣言 ―お金を使わずに生きる方法―
原本 Mark Boyle The Moneyless Manifesto 2012年
この本の概要
この本は1979年生まれのアイルランド人であるマーク・ボイル氏が、約3年間に亘ってイギリスでお金を使わずに生活した内容の集大成である。
本人としても自分の無知を実感するにつれ、このような本で現代人が直面する難題に対する答えのような内容を書くことにはためらいがあった。
しかし、貨幣経済だけが唯一の答えではない事を伝えるためにこの本を書いた。
この本は前半と後半に分かれており、前半では本人の生活哲学、お金や社会に対する思いが述べられており、後半ではお金なしでどうやって生活していくかの具体的な方法が取り上げられている。
前半は社会問題を論じているので、とにかくお金を掛けない具体的な方法だけを早く知りたい場合は、後半から読んでみてもいいだろう。
後半の具体的な話では、英国だけに限られた話もあるし、日本にはないウェブサイトも多い。しかし、似たようなサイトを探す事もできるだろう。
なぜ彼がお金を使わない生活をしているのか。
それは二つの理由がある。一つには、お金が地球環境の破壊に繋がっているからという事。もう一つは、お金と言う物がやりがいもなく繰り返しの多い長時間労働を作り出しており、それが多くの西洋人の精神的な苦しみになっている点だ。
お金なしの社会として彼が提案しているのが、100%その地域で共同自給する社会だ。現代のグローバルな貨幣経済は今後継続する事はできず、人類が存続していくためにはローカルな贈与経済に戻るべきだと説く。そのためには今我々が使っている多くの工業製品を手放す必要があると説く。
多くのハイテク製品を手放し、一見不便な生活をしているように見える著者だが、ハイテク製品を手放し、お金を手放していく中で幸福度が高まっていったという。