ひきこもりその18 ひきこもりと保健師と親
先日、ひきこもりの家族会のメンバー数人と一緒に、10人近くの保健師さんたちと意見交換できる集まりに行きました。
保健師さんというと、予防接種とか母子手帳とか食品衛生とか捨て猫対応などの仕事をしている人達だと思っていましたが、ひきこもりの事にも関わってくれていることがわかりました。
ひきこもりだけでなく、精神障害者にも関わって下さっている人たちなんですね。
保健師さんたちの多くが女性でした。看護師さんのような優しいオーラを出している女性が多かったように思いました。
保健師さんはひきこもりの相談に乗って下さるそうですよ。本人だけでなく家族も。これはありがたいことです。でも知らない人が多そうだなと思いました。
僕だったら保健師さんと相談したいと思いました。
でも多くのひきこもり本人は、せっかく保健師さんが家庭訪問してくれても会わない人が多いらしいですね。
僕もその気持ちは分かります。ほっといてくれ!と頑なに拒みたいんだろうなと思います。
本人が望んでもいないのに親が勝手に保健師を呼んで、ひきこもり本人に相談させても難しいのではないかと思いました。
なぜ保健師さんとの話を拒むのか?
拒んでいる人に話を聞いたわけではないので推測でしかないのですが…。
まず、
1、保健師さんと相談しなければいけない状態にいる自分の立場が恥ずかしいとか、
2、親が呼んできた人は親とグルに違いないから、どうせ働けとか学校行けという結論だから話したくないとか、
3、親が呼んできた人と会わないことによって、それを親を困らせるカードに使いたいとか、
4、どうせ説教されるに決まっているし、その説教はもう聞き飽きたとか、
5、とにかく親とは口を利きたくないし、親の指示には従いたくないとか、
いろいろな理由があるんだと思います。
僕の意見としては、保健師さんは親から頼まれても本人に無理に会おうとする必要ないのではないかと思います。
なぜなら、ひきこもり本人にとっては、親の味方である保健師は敵だと思っている可能性が高いからです。
まずは親の困りごとや悩んでいることを聴き、親の苦しみを解決し、親が心の余裕を持って子供に接することができるようにするだけでも、ひきこもり本人にいい影響を与えることができるのではないかと思います。
僕はいろいろな本を読んで、ひきこもりは親の態度が変わると自然と解決に向かう事例を見てきました。
親がひきこもり本人のことをいい意味で諦めて、親自身が楽しめる何かを見つけたり、自分自身の人生を充実させて喜んで生きるようになると、ひきこもっていた子供が突然働き始めることが多いらしいです。
僕は親が子供の行く末を心配する気持ちも分かりますが、親だけでなく、日本の社会全体がもっとひきこもりに寛容になって欲しいですね。
親がひきこもりを許せないのは、日本の社会全体がひきこもりを許さないからというのも大きいと思います。
ひきこもりは、今の日本では赤紙が来たのに召集に応じない非国民として見られています。街を堂々と歩く事もできません。隠れてコソコソ生活しなければなりません。人目を避けて夜型生活になる者も多いです。(僕は例外的に開き直っていますが(^^ゞ)
徴兵逃れをしている非国民なんだから人権なんて認める必要はない、義務を果たしていないんだから権利を与える必要はない、だから健康で文化的な最低限度の生活を送る権利はないと見られています。これが今の日本のひきこもりの立場です。
ひきこもっていても働いていなくても学校に行ってなくても全く恥ずかしくない社会、多様性を認める社会になって欲しいなと思います。