書評その117 「山奥ニート」やってます。 石井あらた著
321ページと分厚い本でしたが、一文一文が短く、歯切れがいいのでとても読み易かったです。
読んでみて非常に羨ましいなあと思いました。
生活保護の僕から見ても羨ましいと思うほどでした。
生活保護を辞めて山奥に移住する事も視野に入れて行こうと思いました。
和歌山県の山奥、平均年齢80歳以上の老人が5人しか住んでいない山奥で20代~40代までのニートが15人で住んでいるそうです。
住んでいる所は廃校になった小学校の校舎だそうで、無料でもらったので家賃はタダだそうです。
その結果、家賃は食費・光熱費・通信費込で18000円だそうです。
今のところここが日本に住む最低生活費かなと思いました。
18000円の内訳
・食費…9000円
・住居費…0円
・電気代…4147円
・ガス代…1229円
・上下水道料…254円
・交通費…1500円
・通信費…263円
・交際費…0円
この本で一番参考になったのは、ニートには出来高制の仕事が性に合っているというところでした。やる気が出ずにダラダラしていても一切怒られないそうです。
時給制の仕事だと雇用主としてはどうしてもできるだけたくさんの仕事をやらせたくなりますよね。それでニートがダラダラ仕事してたら怒りたくもなりますよね。これではお互いにとって精神的にも良くないと思います。
実際に山奥ニートがやった仕事
・しいたけの菌打ち
・林業の手伝い
・測量のバイト
・梅の収穫、選別
・柚子の収穫、加工
・花切り
・文字起こし
・地域の直売所のレジ
・キャンプ場のバイト
・旅館に住み込み
・害獣駆除の報奨金
・ブログ広告
・動画広告
・雪かき
・台風後の片付け
・山に生えている花を売る
・レンタルボートの管理
本の中で、山奥を去って行った人の話もありました。
やはり原因は人間関係ですね。嫌がらせを受けたらしいです。
やはり大人数で暮らせば合う人合わない人が出てくるのが普通ですよね。
人間関係の苦手なニートが集まっている以上、人間関係が上手く行かなくて去る人が出てもおかしくないなと思いました。
むしろ、嫌になれば出ていくことが出来るところがいいですね。
たとえば幼稚園児や小学生が親から暴行を受けていたりすると、家を出て行くという選択肢はなかなか取りにくいと思います。それに比べたら気軽に出て行けるのはいいことだと思いました。
印象に残った言葉
「集まったのは、なるべく働かないための生活の知恵。もし、ここより生活費が安い場所が見つかったら、多くの人は出ていくだろう」。
最近コロナの影響もあり、「絆」とか「繋がり」が大切だと言われるようになりましたが、山奥ニートの仲間意識は紙のように薄いらしいそうです。
ニートが親や世間や福祉事務所からの就労圧力をかわし、精神的自由を獲得するためのコストは月18000円。
月に18000円稼げるようになれたらここに住むことができます。
確かに今のところ、ここ以上に生きやすい場所はないだろうと思いました。
今後こういう施設が増えていくような気がします。
僕も作ろうかな…
ひきこもり・ニート・不登校の支援と言うと、いかに週5日働けるようにするかという支援しかありませんが、山奥ニートの施設だと月18000円稼ぐだけでいいので、週1日とか月4日ほど働けば良さそうですね。
働きたくない人を無理矢理働かせる支援ばかりではなく、働きたくない人がなるべく働かなくても生きていける施設が今の日本には求められていると感じました。
厚労省とか役所がやってくれたらいいですけど、あまり期待はできないのでやっぱり庶民が作っていくしかないのかもしれませんね。