雇われないで生きる道

やりたくないことをやらないで生きる方法を探求しています。

書評その115 死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威 岡田尊司著

この本も本当に凄いことが書かれていました。

愛着障害について書かれていた本でした。

愛着障害というのは、幼少期に親から虐待・ネグレクト・養育者交代などよって十分な愛情を受けられなかった結果、子どもの脳内の「オキシトシン受容体」が減ってしまう状態のことです。

オキシトシンというのは安心感や幸福感を感じる為のホルモンで、オキシトシン受容体というのはそのホルモンを受け取る為の器官です。

オキシトシン受容体が不足するとオキシトシンを受け取れなくなるため、安心感や幸福感を感じられなくなります。

そのため、その代用として何かを達成した時に得られるドーパミンを通して生きる喜びや楽しみを感じようとします。またはアルコールや薬物やセックスに依存したり、摂食障害リストカット、非行、犯罪などに走るようになります。これが愛着障害です。

 

大人の発達障害と子供の発達障害は全くの別物だそうです。

子どもの発達障害は成人する頃には自然と治まっていくそうです。

しかし、大人の発達障害は子供の頃には症状がなかったのに大人になってから症状が出てくるのです。

発達障害は先天的な脳神経障害だとする定説がありますが、海外の研究によってその定説が覆されているそうです。巻末に海外の研究によるエビデンス(研究結果)が紹介されていました。

しかし日本の医学界にはまだその影響が波及してきてないようです。

 

その他のエビデンスとしてはADHD(注意欠如多動性障害)は短期的には薬で劇的な改善がみられる場合もあるが、長期的な改善効果がないという結果が示されているそうです。

 

これだけのエビデンスが出ているのになぜ、愛着障害が軽視されてきたのか?

それに対する著者の考えは…

「…そうした制度的差別が今もまかり通っている根底には、愛着障害によって生じる問題を性格の問題や怠けとみなしてしまう偏見がある。その偏見を抱いてきたのは一般市民と言うよりは医師である。医師たちは、手首を切ったり自殺すると言って脅すこのタイプの患者に散々振り回され、手を焼き、嫌な思いをしてきた。気分も態度もコロコロ変わり、治療も長続きしない患者にうんざりし、怒りを感じ、時には「もう来るな」と言い捨ててきた。「良い」患者ではないこのタイプの患者をまともな病人でさえないと烙印を押し、救済の制度からも排除することで仕返しをしてきたのだ。しかし、まさにそうした特性は愛着障害ゆえに生まれてしまうものである。彼らが親から愛されず、困り者扱いされる中で身に付けてきたものなのだ。ある意味、もっとも救いを必要としているのに、医療さえも彼らを厄介者扱いはしても、本気で助けようとはしない。発達障害者支援法があるのならば、愛着障害者支援法があってもよいはずだ」。

 

親からも嫌われ、学校でもいじめられ、会社の上司や同僚からも嫌われ、精神科医からも嫌われてきたのが、愛着障害者なんですね…

 

愛着障害を克服するには?

愛着障害の克服はリハビリやトレーニングに似ている。

そこで必要なものは大きく分けて3つある。

1、支えとなる人。掴まるための手すりや歩行器に該当するような安全基地となる人。安全基地とは、安心して頼ることができる避難場所のような人。

2、自ら立ち上がり、苦痛を乗り越えて歩けるようになろうとする気力や忍耐心。

3、小さなステップを積み重ねながら、一段ずつ進んでいく。

(著者は愛着の課題を克服するためのプログラムを開発している。そのプログラムでは、自分や他者の気持ちを理解する能力を高めるトレーニングや、自分を苦しめる反応パターンを生きやすい反応パターンに変えて行くトレーニングなどが提供されている)。