書評その114 生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害 岡田尊司著
回避性パーソナリティ障害と回避型愛着スタイルについて説明した本でした。
回避性パーソナリティ障害も回避型愛着スタイルも、大雑把に一言で言えば、「生きるのが面倒くさい人」であり、「会社や学校などの人間関係を避けようとする人」のことです。
ひきこもり・ニート・不登校の人はほぼ、この回避性パーソナリティ障害だとみて間違いないと思います。僕もほぼそうだと思います。
原因は幼少期の親からの愛情不足と支配過多、過干渉・過管理などだそうです。
その結果として、脳内のセロトニン受容体が少なくなってしまい、人間関係を避けようとする人間になってしまうんだそうです。
このセロトニン受容体の不足によって、今や著者のクリニックにも物凄い相談がよく持ち込まれるようになったそうです。
親の育て方が悪かったとして子供が多額の金銭を要求するケース。
子どもから金を払わなければ殺すとか死ぬとか言って脅されて、泣く泣く老後の資金を支払ったケース。
借金までしてそれでも払い切れず、危害を加えられる事を恐れて親の方が夜逃げしてしまったケース。
それまで跡継ぎや秘蔵っ子として可愛がっていた子供が思い通りにならなくなると、生活費を与えることをケチり始め、家の立ち退きを要求し、訴訟沙汰になったケース。
自分に刃向った我が子には一銭も与えず、自分の思い通りになる存在をこれ見よがしに養子に迎えて、そちらに全財産を残そうとするケース。
本当に世も末だなと思いますね。
回避性の人が現状を改善する道
1、安全基地となる人を作る。
ありのままをさらけ出せる人、受容してくれる人を作る。カウンセラー、精神科医、伴侶、パートナーなど。
2、目の前の機会に乗ってみる。
やりたいことと違っていても紹介されたことや頼まれごとをやってみる。来た話に乗っかってみる。
小説家・星新一も回避性パーソナリティ障害である可能性が濃厚らしいです。
星新一の小説は面白いらしいので読んでみようかなと思いました。
星新一の最初の作品「セキストラ」。
短編小説が多い星新一の長編小説「人民は弱し 官吏は強し」…父星一が冤罪と戦う姿を描いた社会小説。
印象に残ったところ
・回避性パーソナリティ障害の子供は、自分のやりたいことを親から否定され続けてきた結果、自分がやりたいと望むこと自体を諦めるようになったり、本当にやりたいと思うこと自体がなくなってしまっていたりする。
・回避性の人にとっての適職
専門資格職(司法書士、行政書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、理学療法士、臨床検査技師、言語聴覚士、眼鏡士、医師の一部)、公務員、事務職(経理、総務、法務、物品管理、施設管理)、技術職(技能職、職工、職人、現場技術者)、販売・営業系(扱う商品に特別な関心を持っている場合)、作業員(工場、倉庫、施設、現場、保守管理)