書評その107 あやうく一生懸命生きるところだった ハ・ワン著、岡崎暢子訳
タイトルに惹かれて読みました。
韓国でベストセラーになり、25万部も売れたそうです。
日本より人口の少ない韓国で25万部ということで、日本だったら75万部になりますから、ものすごく売れてるんですね。
287ページと結構分厚い本でしたが、著者自身が書いたイラストがたくさんあり、スラスラ読めました。
「一生懸命生きる」とは、「嫌なことを我慢して続ける」ことなので、もうそういう生き方は止めて、もっとのんびりと楽しんで生きていきます、という話でした。
会社勤めをしていた著者は40歳を目前に控え、思い切って会社を辞めて貯金で暮らすことにしたそうです。貯金で暮らしながらエッセイやイラストを書くフリーランスとして生きるようにしたそうです。
文章はとても読み易かったのですが、僕としては会社勤めを辞めてどうやって生計を立てていくんだろうという点が一番興味があり、今後どうなっていくんだろうと期待しながら読んでいたのですが、途中から人生訓的な内容ばかりになり、その話は出てこないまま終わってしまいました。
結局どうやって生計を立てているのかという話は出てこず、この本が売れたからしばらくは安泰なんだろうなと推察するしかない状況でした。
会社勤めのときの給料、貯金、フリーランスになってからのエッセイやイラストの収入などの数字的な話もして欲しかったなと思いました。
韓国も日本と同じで生きづらさに満ちた国なんだなと思いました。韓国と日本だけでなく、工業化された国はどこも同じなんだと思います。
僕は正直、ベストセラーになるほどの本かなぁ…と思ってしまいました。日本にはこの手の本(ガツガツ生きていくのを止めてのんびり生きていく系の本)がたくさんあり、著者の話には特に目新しさは感じられませんでした。