書評その83 ひきこもりカレンダー 勝山実著
「今こそ語ろう、それぞれのひきこもり」という本の中にも勝山さんの文章があり、その文章が究極の本音を語っていて痛快だったので、勝山実さんに興味を持つようになりました。
それで手に取ったのがこの本でした。
この本も読んでみて本当に痛快でした。
これ以上にひきこもり当事者の本音を代弁してくれている本はないと思いました。
ひきこもりと言っても千差万別なので、勝山さんの意見が合わない人もいるかもしれませんが、僕にとっては本当に面白くて最高でした。笑いながら読みました。
いきなり「(自分が悪いのではなく)親が悪い。」という断定から始まったり、とにかく普通の人なら遠慮してなかなか言えないような事をズバリと断定しているところが本当に凄かったです。
この人以上に自分軸がしっかりと立っている人には今までなかなか出会ったことがありません。
普通のひきこもりは(働けない自分はダメ人間だ…、働かない自分は甘えているのかもしれない…、このまま学校に行かなかったらもうお先真っ暗だ…)などと自分を責めたり、その結果として手首をカッターで切ったりする人が多いですが、著者は違います。
悪いのはひきこもりではない。親が悪い。社会が悪い。と断定しています。
一文一文も短くて歯切れが良くて読み易いです。遠回しな表現もありません。
この本は著者が29歳の時に書いた本ですが、29歳で究極の自分軸を確立し、このような本を出してしまうと言うのは本当に凄いと思いました。
著者は究極の毒母に育てられていました。僕の母も毒母でしたが、それを大きく上回る毒母っぷりでした。父親は比較的まともな感じでした。
やっぱり毒親の元でひきこもるというのは並大抵の事ではない事がよくよく分かりました。
僕の親は毒親を通り越していつ殺してくるか予測できない恐ろしさだったので、そんな奴とこれ以上一緒に住むのは危険だと判断して家を出ました。そんな状況だったので僕はひきこもりたかったのですが自宅ではひきこもれませんでした。
著者は肉体的な死の危険はないにしても、精神的な拷問は肉体的な死を選んだ方がましなレベルだったと思いました。
そんな家庭で育った著者が、こんなに明るく生き延びてなおかつ面白い文章で人を笑わせられるとは… 大変感銘を受けました。