書評その78 発達障害の子どもが自己肯定感を高める最強の勉強法 和田秀樹著
受験勉強法の第一人者でもある和田秀樹さん(東大医学部卒)が「発達障害」や「自己肯定感」について書いた本でした。
主に発達障害の小学生を持つ親向けに書かれていました。
人間関係が苦手なことが多い発達障害の子どもが自己肯定感を失わない様な接し方が書かれていました。
健常者の子どもに対しても当てはまることだとは思うのですが、発達障害の子どもに対しては特に苦手なことは無理にやらせない方がいいという方針には共鳴しました。
それよりも得意なことや好きなことを伸ばす方向でやった方が上手く行くらしいです。
そして小学受験や中学受験は発達障碍児にとっては向いてないとのことです。
スマホゲームなどに熱中し過ぎるとゲーム依存症になる場合もあるので、20分勉強したらその報酬としてゲームもさせてあげるというようなやり方の方がいいと主張していらっしゃいました。
人間関係が不得意な発達障害者は学歴や資格などで専門性を身に付けた方がいいという論理は確かにその通りなのですが、勉強その物が嫌いな場合もあるので、読んでいてどうしても釈然としない思いが募りました。
発達障害者に向いている職業は、研究者、作家、漫画家、芸術家、起業家と言われています。受験勉強を経ずに直接そういった職業に就く道はないものでしょうか。そういう思いが湧いてきました。
確かに学歴を身に付けられればそれに越した事はないとは思いますが、それに向いてない発達障害児もたくさんいると思うんです。そういう子に対する接し方に関してはほとんど書かれていなかったのでちょっと物足りなさを感じました。
でも受験勉強業界の重鎮である著者が子どもにあまり苦手な事を強要しない方がいいという発言をして下さった事は、今後教育界にじわじわとしかし確実に浸透していくと思うので、こういう本を出して下さった事はありがたいことだなとは思いました。