書評その74 いまこそ語ろう、それぞれのひきこもり 林恭子・斎藤環編
十数人のひきこもり経験者がそれぞれの経験を生々しく語っていました。
とても興味深かったです。
ページ数は130ページと薄くて読み易かったです。
ひきこもり当事者は100万人超、元ひきこもりも含めたらどれだけいるか想像もつきません。
できれば全員と話したいと思いました。
やっぱり当事者、元当事者の話が一番参考になると思いました。
たくさんの役立つ情報が得られました。
最近8050問題だとか就職氷河期支援だとかで、行政レベルでもひきこもり支援が行われるようになりましたが、それらのほとんどがなんか違うなぁ…と思って来た理由がハッキリと分かりました。
行政レベルで行われているひきこもり支援が、当事者の意見や希望を全く無視しているからだと分かりました。
行政レベルで行われているひきこもり支援は、一言で言えばひきこもっている人間を無理矢理引き出して無理矢理働かせるというものです。家庭訪問もひきこもり当事者の感覚からすると攻撃だと感じるという話にはとても共感しました。
十数人全部の証言がとても興味深かったのですが、最も印象的だったのは勝山実さんの話でした。
この方は、当事者にとって最も必要な支援は就労支援ではなく、居場所づくりでもなく、現金給付だと主張していらっしゃいました。正にその通りだと拍手喝采の思いでした。
紹介されていた本など
・小川さやか著「その日暮らし」の人類学
・伊藤洋志著「ナリワイをつくる」
・ひきポス
・「ひきこもる心のケアーひきこもり経験者が聞く10のインタビュー」
・ひきこもり新聞
・丸山康彦著「ひきこもりの心ー経験者相談員は語る」
・上山和樹著「ひきこもりだった僕から」
・芹沢俊介著「引きこもるという情熱」
元ひきこもり当事者で今は活躍している人
・pha氏…シェアハウス運営、作家など
・家入一真氏…起業家、GMOやCAMPFIREなどの創業
・山田ルイ53世氏…お笑い芸人
・滝本竜彦氏…作家