書評その73 AKIRA(漫画全6巻) 大友克洋作
この漫画は前から気になっていましたが読んだことがありませんでした。
1982年から1990年に連載されていたのですが、2020年の東京オリンピックを予言していると聞いて、それは凄いと思って読んでみることにしました。
ジャンルとしてはSFものなのですが、リアリティが凄くて引き込まれました。
本当にあり得た話だなと思いました。実際にこの物語のようなタイムラインが存在していて、今の地球はそれを回避できたのかもしれないとさえ思いました。
ただ、すべてのSFものに言えることなのですが、どうも暗い未来の話ばかりですね。あまりにもリアリティが凄いので、この漫画を読んでしまうと集合意識が暗い未来を受け入れてしまいかねないとも思いました。
暗い未来もあり得ると認識し、絶対にそういう未来は選ばないと決意する人が増えてくれたらいいのですが、潜在意識に刷り込まれる可能性も感じました。
明るい未来、豊かで平和で愛と調和と自由に満ちた、そういう未来を描いた作品があって欲しいものです。そういうストーリーだと売れないのでしょうか…
それとこの漫画は読んでいて難しかったです。登場人物がそれぞれの思惑で別行動していくので場面が急に変わるのですが、その急展開に付いていくのは大変でした。
あとは、爆発や空中のシーンが多いのですが、今まで見た事もないようなシーンが多く、この絵・構図は一体何なんだ!?という絵が多くて何が起きているのか理解するのが大変でした。
爆発シーン、空中シーン、戦闘シーンなどは絵で表現する場合はもっとコマ数を増やして変化を分かり易くして欲しかったと思いました。
映像で表現すると分かり易くなると思ったので映画に期待したいと思います。
映画の感想
あまりにも原作の漫画とストーリーや設定が違い過ぎて、僕は個人的には全く面白くなかったです。何とか頑張って半分まで見たのですが、途中で見るのも止めました。
映画だと2時間程度にまとめないといけないという縛りがあるのでしょうが、ここまで内容を変えてしまわざるを得ないと言うのは本当に残念でした。
漫画を本場インドのオーガニック激辛カレーライスだとすると、映画はGHQ監修の下で日本で作られた甘口カレー味の添加物一杯のガムという感じを受けました。味は似ているものの、じゃが芋もニンジンも玉葱も御飯も入ってない、辛さもない、そういう味気ないものでした。1時間噛むのがやっとでした。
映画をきっかけに原作の漫画も読んでみようかなという人が出たらいいですが、この映画を見て漫画も読んでみようと思う人の割合は低そうな気がしました。