書評その66 夢をかなえる人のシンクロニシティ・マネジメント 堀内恭隆著
著者は立派な人だと思います。悪く言うつもりはありません。
立派な事業をし、多くの人を救い、多額の税金を納め、社会に貢献する素晴らしい人だと尊敬します。
一方で僕は事業もせず、働きもせず、誰も救わず、税金も納めず、むしろ税金で生活し、社会にも貢献してない人間です。
そんな人間が身の程をわきまえない書評を書くのは気が引けるのですが、誰もやらないからこそやるしかないと思って書く事にしました。
この本を読んで重要な気付きを得て、人生が好転する人も続出すると思います。
しかし、僕個人の独特で例外的なフィルターから見ると、あまり感動はできなかったので、もっと痒い所に手が届く本を書いてほしい期待を込めて、この本の欠点だけを書こうと思います。
シンクロニシティとは、意味のある偶然の一致のことだそうです。
シンクロニシティを人生で生かせるようになる方法が書かれていました。
著者はインスピレーション(ひらめき)を受け取ったり気付いたりするのが上手なので、僕もインスピレーションにもっと気付けるようになりたいと思って読んでみることにしました。
結論から言うと、僕にはあまりピンと来なかったです。
と言うのも、この本の文章自身が著者のひらめきで書かれているような感じで、理由や根拠的な話が全くなかったからです。全くなかったというと言い過ぎですが、著者が体験して真実だと確信した話として書かれていました。
文章に理由や根拠を求めてしまうのは間違いなんでしょうかね。
僕の人生があまり理由や根拠を追求せずにカルト宗教に洗脳されたり詐欺に引っ掛かってお金を取られたりしてきた人生だったので、どうしても身構えてしまうところがあります。
何とか頑張って読んでいたのですが、インスピレーションを受け取れる体になる方法のところでついに限界になりました。
インスピレーションを受け取れる体になるには、食欲・睡眠欲・性欲の三大欲望を満たして満足しなければならないとのことでした。
食欲と睡眠欲を満たすのはできたとしても、性欲を満たす事は並大抵のことではできないように思いました。
著者は性欲を満たすために愛する人とセックスしたらいいと述べていましたが、そう簡単に言われてもそこが難しいのですが…という気持ちを拭うことができませんでした。
愛する人とセックスして満たされたらいいと言われても、そもそも恋人も妻もいない人はどうしたらいいのでしょうか。お金を払ってプロに相手してもらうにしてもよほどお金に余裕がないとできないと思います。今時そこまでお金に余裕のある人なんているんでしょうか。
「今ここ」の快・不快を大事にする必要性が説かれていましたが、「未来なんて存在しない、今ここしかない!」と言って月末に払う家賃すら使い込んでしまったら順当にホームレスになるような気がするのですが… そうなったら生活保護を申請すればいいのでしょうか。それもなんか違うような気がします…
それに愛する人がいたとしても相手が疲れていたりしてセックスレスになっている夫婦も多いらしいですよね。「愛する人とセックスして性的に満たされたらいい」と軽く書いてありましたが、愛する人とセックスできてなおかつ性的に満たされている人というのは一体日本人の内何割いるのでしょうか。僕は少ないような気がするんですけど…
体の快・不快に注意深くなり、快楽を求め、不快を遠ざけたらいいとありましたが、僕はこの時点で本を閉じようかと思いましたが、何とか200ページほどまで頑張って読みました。
不快になった時点で本を閉じれなかった自分は、自分の快・不快に忠実ではなかったということなのでしょうか。